今日こそセックスレスを解消したい・・。
毎日化粧はするし、体形にも気を付けてる。
でも夫に抱かれないと、もう女じゃないって言われてるような気になって。
「セックスレスに陥ってしまう夫婦は、妻側にも原因があるのよね・・」
そう、ネット情報によると、セックスレスに陥る夫婦には、妻側に原因があるのだ。
子育てに必死になるあまり、夫をないがしろにした妻が悪いのだと。
子育てに必死になるあまり、髪を振り乱し肌荒れ体形の崩れ、もう女として見れないものになってしまう妻が悪いのだと。
確かに子育ては大変だ。
自分を犠牲にしないと成り立たない子育て。
いくら自分を犠牲にして子どもを育てても、昇給があったり昇格があったりするわけではない。
子どもの世話にかかりっきりになっているうちに、夫が妻に興味を持たなくなってしまうとか。
子どもに怒ったりイライラしている姿を見て、セックスの対象から外れてしまうとか。
それについて反論がないと言えばうそになる。
でも、自分の中にある反論を押し殺してもやり遂げたいことがある。
セックスだ。
「今日こそ、イライラしないで、優しい妻でいよう・・」
私はそう心に誓った。
午後10時。
「ただいま。」
夫が帰宅した。
「おかえり。」
私はにっこりと夫を出迎えた。
「お疲れさま。」
さらにねぎらいの言葉もかけた。
いつもなら、仕事から帰ってすぐテレビに夢中になる夫にイライラが止まらなくて
優しい言葉なんてかける気にならない。
でも、今日は優しくてかわいい妻でいるって心に誓ったんだ。
私だって、言葉の全く通じない赤子の世話に、言葉が7割ぐらいしか通じない幼児の世話、自我が爆発して手に負えない反抗期の子どもの相手をして疲労困憊なのだ。
でも今日は、優しくてかわいい妻でいるって心に誓ったんだ。
なのに、夫から返ってきたのはこの一言だけ。
「おう。」
そして例にもれず今日もテレビに夢中になっている。
「そんなにテレビが大事？」
そう言いたいのをぐっと我慢して、
「テレビ、面白い？」とにこやかに話しかけてみた。
「いや、別に」
別に面白くないんだったら必死にテレビ見るなよ、と言いたかったが我慢した。
夫が夕飯を食べ終わるのを見計らって、近くに寄った。
「・・・」
穏やかな笑顔で見つめてみる。
付き合っていたころなら、近距離からのこの笑顔で夫のアソコにテントが張っていたほどだ。
その脅威の笑顔をもってしても
「なに、どうした？」
と少し困惑気味。
いつもイライラしている私がいきなり穏やかな笑顔を浮かべているのだ。
夫からすれば嵐の前兆化と疑われても仕方がない。
これが、セックスレス解消は一日にしてならずと言われるゆえんか・・。
それでも私はめげずに、キスをした。
夫は困惑気味に驚いている。
「えっち、したいけど」
穏やかな笑顔のまま、ちょっと恥ずかし気に言った。
しばらくの沈黙。
「え、今日？今日はちょっと・・明日早いから・・明日でもいい？」
明日が早いって。
新婚のころはさ、朝5時起でもセックスしてたじゃん。
今は明日が7時起きだと「朝早いから」って断るんだ。
キスするために近づいていた夫から、サッと離れた。
セックスしたいって、はっきりと意思表示したよ。
でもダメなんだね。
「明日」もセックスしないことはわかってる。
私たちの「明日」っていつ？
いつになったら求められる？